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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
妊娠・分娩(4) 妊娠22週で腹腔内大量出血を来した穿通胎盤の一例
武田 信彦, 大島 教子, 多田 和美, 西川 正能, 田所 望, 深澤 一雄, 渡辺 博, 稲葉 憲之
獨協医科大学産婦人科
癒着胎盤は絨毛の子宮筋層内への侵入の程度により分類され,このうち穿通胎盤(Placenta percreta)は絨毛の侵入が子宮筋層を貫通し,子宮漿膜面にまで及ぶものをいう.癒着胎盤の発生頻度は0.025〜0.05%といわれているが,穿通胎盤はその中でも5%と稀な疾患である.癒着胎盤の成因としては帝王切開や子宮内掻爬術,筋腫核出術の既往があげられる.今回,我々は妊娠22週に穿通胎盤の子宮穿孔により腹腔内大量出血を来した症例を経験したので報告する.症例は35歳,4経妊3経産,分娩はいずれも経腟分娩であった.平成13年12月第3子分娩時,胎盤娩出困難で用手剥離が行われている.平成14年10月,前医で妊娠8週と診断され以降外来管理されていた.妊娠22週0日,腹痛・嘔吐にて前医受診,血圧低下および原因不明の腹痛を認め当院に母体搬送となった.来院時,不穏状態,下腹部痛を訴え,意識レベルの低下あり.腹部超音波では常位胎盤早期剥離を疑わせる所見なく,大量の腹水貯留を認めたため腹腔内出血の診断で緊急開腹術施行.術前Hb4.1g/dl,血圧61/49mmHg,児心音は正常であった.腹腔内出血は4772ml,出血部位は子宮底部の穿通胎盤で約3cmの子宮破裂部位を確認.子宮温存不可能と考え,帝王切開術および子宮全摘術を施行.児は体重494g,男児,Ap1/2,現在NICUにて管理中である.母体は術後経過良好にて12日目に退院となった.穿通胎盤の文献的考察を加え報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
214-214, 2003
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