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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
妊娠・分娩(5) MTX局注療法が奏効した帝王切開瘢痕部妊娠の1例
岡崎 隆行1), 北澤 正文1), 戸賀崎 義明1), 渡辺 博2), 稲葉 憲之2)
国立横浜東病院産婦人科1), 獨協医科大学産婦人科2)
【症例】34歳,4経妊3経産 既往歴:帝王切開×3,最終月経:平成14年10月4日より,月経周期:28日型・整 【現病歴】平成14年11月9日(妊娠5週1日),出血・頚管妊娠疑いにて近医より当院救急外来を紹介受診 【経過】初診時所見:出血極少量,下腹部痛なし,子宮口閉鎖もやや軟.経膣超音波にて内子宮口付近の前壁に胎嚢7-8mmを確認.帝王切開瘢痕部妊娠疑いと診断,精査目的にて入院. 11月11日(妊娠5週3日),出血不変も胎嚢1.0cm(胎芽認めず),子宮前壁―膀胱厚4.1mm.MRI上,内子宮口付近の子宮前壁筋層内に胎嚢認め,子宮壁の菲薄化を伴っていた.菲薄化した部分は他の筋層よりlow intensityであった.本人・夫へ,診断および治療法(1:TAH,2:MTX筋注,3:MTX胎嚢内局注)を提示,それぞれの長所・短所を説明し,MTX筋注法が選択された.妊娠5週6日よりMTX20mgを隔日4回施行.はじめ2回施行後.全身状態不変のため外来にて施行としたが,妊娠6週6日,経膣超音波にて胎嚢2.3cm,胎児頭殿長9.1mm,心拍を認め,子宮前壁厚も3.1mmとさらに菲薄化してきたため,本人・夫へ説明し,セカンドラインとしてMTX局注療法を選択.翌7週0日,静麻下に19G穿刺針を用い,経膣超音波ガイド下に胎嚢内容液2ml採取後MTX50mg/5mlを胎嚢内注入.同時に穿刺針にて胎芽破砕.翌日経過良好にて退院した.以降外来にて経過観察となったが,胎嚢は縮小傾向にあり,血中hCGも漸減,平成15年1月22日(術後56日目)には経膣超音波上胎嚢消失,血中hCGも基準値未満となっている.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
217-217, 2003
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