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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
妊娠・分娩(6) 心停止後救命し得た帝王切開術後肺塞栓の一症例
伊東 宗毅1), 末永 昭彦1), 斎藤 麻紀1), 林 直樹1), 竹田 省1), 吉田 良一2), 吉田 智子2)
埼玉医科大学総合医療センター産婦人科1), 吉田産婦人科小児科医院産婦人科2)
我国でも術後肺塞栓が増加しておりその予防が問題となっている.今回,血栓予防を行っていたにも関わらず肺塞栓を発症し心停止となったが救命し得た症例を経験したので報告する.38歳 2G2P,既往歴 前2回帝王切開(共にCPD)現病歴 前医にて妊健管理.34週より尿蛋白,浮腫を認める.36W1D妊娠中毒症(P,E)にて入院.翌日,予定帝王切開となる.術後IPC装着,フラグミン3000IU/day投与など血栓予防をおこなった.術後1日,歩行開始後心停止となり,心臓マッサージにて心拍再開.その後当院救命救急センターへ搬送となる.心エコーにて左室の著明な圧排,右室の著明な拡大を認め,肺塞栓症の診断にてt-PA160万IU投与後,ヘパリン10000IU/day持続投与開始した.術後3日,抗凝固療法のため出血傾向出現.また筋膜下にも血腫認め,トロッカーを留置.術後11日,肺換気血流シンチにてミスマッチを認めるも下肢静脈血流シンチにて血栓を認めなかった.以後ヘパリンをワーファリンへ変更し術後35日退院となった.結語 血栓予防を行っているにも関わらず肺塞栓症を発症した症例を呈示するとともに予防法および抗凝固療法,線溶療法の問題点につき考察する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
218-218, 2003
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