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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
妊娠・分娩(6) 妊娠子宮腔内に異常隔壁を認め,Asheman症候群合併妊娠と考えられた1例
橘 涼太1), 加藤 清1), 芦田 敬1), 金井 誠1), 小西 郁生1), 杉原 研吾2), 塩沢 功2), 高江 健太郎3), 海野 信也3)
信州大学産婦人科1), 波田総合病院産婦人科2), 長野県立こども病院周産期科3)
Asherman症候群は子宮内操作の後に腔内に癒着を生じ月経異常や不妊症をきたす疾患で,妊娠が成立しても流産となる症例が多い.今回,超音波およびMRI検査にて子宮腔内に奇妙な隔壁様構造と胎盤の付着異常を認め,Asherman症候群合併妊娠と考えられた1例を経験した.症例は27歳の1回経産女性で,前回分娩後胎盤遺残,多量出血のため子宮内容除去術が施行されている.今回,妊娠21週時に超音波断層法にて子宮腔を上下に分割するような隔壁様構造が認められていた.妊娠27週,切迫早産の診断にて母体搬送となった.MRIにて子宮腔は上下2つのコンパートメントから構成され児は上方の腔に横位で存在していた.胎盤は前壁付着で,その一部が隔壁様構造に接しながら子宮腔を橋渡しするように後壁にも付着していた.下方の腔は著明な羊水が存在し頚管の短縮所見を認めた.切迫早産,子宮腔内癒着が疑われ妊娠28週に当科へ搬送された.転院翌日,児は上下の腔の交通部から頭部が下方の腔へ下降し頭位となり,切迫早産徴候は改善した.妊娠35週,胎盤付着異常の適応にて帝王切開術を施行し2,744gの女児を娩出した.病理診断にて胎盤後壁付着部にtrophoblastの筋層浸潤を認めた.本症例は前回分娩後の子宮内掻爬により子宮腔内に癒着を生じ,今回の妊娠ではその癒着部付近に着床したことで奇妙な胎盤位置異常をきたしたものと推察された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
219-219, 2003
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