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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
妊娠・分娩(6) 保存的治療により軽快したイレウス合併妊娠の一例
玉川 有美, 宗田 聡, 豊田 真紀, 渡辺 倫子, 藤木 豊, 染谷 勝巳, 濱田 洋実, 吉川 裕之
筑波大学産婦人科
妊娠中にイレウスを発症することは比較的稀であるが,重症化し,開腹手術を要すことも多い.今回我々は妊娠32週で発症し保存的治療可能であった症例を経験したので報告する.症例は31歳の初産婦.1歳2ヶ月時に腸重積で開腹手術の既往あり.他院にて妊娠経過は特に問題なかったが,妊娠32週2日,上腹部痛・下痢・嘔吐にて入院.絶食・補液にて改善せず,腹部単純X線写真上ニボー著明でイレウスと診断,更に腹部CT上小腸の拡張著明であったため妊娠32週4日イレウス管を挿入し,32週5日,当科母体搬送入院となった.入院時,中等度の炎症所見・上腹部痛・嘔吐がみられ,イレウス管からの流出は不良であった.イレウスの原因については,腸重積手術による陳旧性の癒着が,妊娠子宮によってひきつれ,単純性イレウスをおこしているものと考えられた.入院後,抗生剤点滴投与開始し,またイレウス管を再固定したところ流出も良好となり,症状も改善した.胎児推定体重は2000g,児のwell beingは良好であった.保存的治療可能と判断し絶食・IVH管理を行ったところその後も症状の悪化はなかった.34週4日誘発分娩にて2705gの女児を娩出.Apgar score 8点-10点.早産児のため当院新生児科入院となるも全身状態は良好であった.児娩出後イレウス症状は著明に改善し,産褥1日イレウス管造影を施行したが明らかな狭窄部位はなかった.産褥5日より経口摂取開始後も消化器症状出現なく,産褥11日,退院となった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
220-220, 2003
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