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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
妊娠・分娩(7) 羊水過多,汎血球減少を合併した妊娠の一症例
大島 乃里子, 濱田 佳伸, 佐々木 奈奈, 根岸 秀明, 星本 和種, 安藤 昌守, 矢追 正幸, 堀中 俊孝, 榎本 英夫, 林 正敏, 大藏 健義
獨協医科大学越谷病院産婦人科
【緒言】羊水過多の頻度は全妊娠の0.4〜1.5%とされており,その原因は産生の更新か吸収系の異常である.近年,塩酸リトドリンの副作用と思われる顆粒球減少に対し,妊娠中にG-CSFを投与したとの報告も見られる.今回,我々は羊水過多,汎血球減少を合併した妊娠の一症例を経験したので報告する.【症例】症例は33歳,1経妊,1経産.既往歴,家族歴共に特記すべきことなし.30歳時,帝王切開術施行.今回,妊娠29週1日時に羊水過多,切迫早産にて近医より紹介受診となった.来院時,AFI 31と羊水過多を認め子宮収縮も認める事より入院管理とし,塩酸リトドリンの投与を開始した.胎児エコー所見は特記すべき外表奇形は認めなかったが,胃泡が確認出来なかった.入院時の血算にてWBC5400,Hg9.0g/dl(MCV 108,MCH 36.0),plt 2.9×104/mm3と大球性高色素性貧血,血小板減少を認めた.羊水検査は正常核型で,骨髄像には赤芽球系過形成,巨核球からの血小板産生低下が認められた.妊娠31週時,WBC 600,Hg 6.9g/dl(MCV108,MCH35.9),plt1.1×104/mm3と汎血球減少を認めた.血小板低下に対して濃厚血小板の投与を行った.白血球減少,発熱,CRPの上昇を認めたため,インフォームドコンセントを得た上でG-CSF,抗生剤の投与,また硫酸マグネシウムへの薬剤変更を行った.妊娠34週6日にて帝王切開術を施行した.羊水は2000mlであり体重は2808g,A/S 3点(1分),6点(5分)であった.母体の出産後の経過は良好で,分娩後1ヶ月にてWBC5400,Hg10.8g/dl,plt6.4×104/mm3となった.【症例】羊水過多との関連は不明だがrefractory anemiaが基礎にあり,妊娠にて増悪したと思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
221-221, 2003
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