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第105回学術集会(平成15年6月8日)

【一般演題】
妊娠・分娩(7)
先天性アンチトロンビン3欠乏症合併妊娠の一例


鶴賀 哲史, 川名 有紀子, 兵藤 博信, 八杉 利治, 久具 宏司, 藤井 知行, 上妻 志郎, 堤 治, 武谷 雄二
東京大学女性診療科・産科


 先天性アンチトロンビン3(AT3)欠乏症は,血中AT3低下により凝固亢進状態をきたし,様々な要因により主に静脈系に血栓を形成する常染色体優性遺伝の疾患である.一般に血栓傾向のある妊婦では,流早産,IUFDやIUGRなどの発生頻度が高くなる.今回,我々は先天性AT3欠乏症合併妊娠の症例を経験した.症例は38歳未妊婦,叔母に深部静脈血栓症の既往があるほか特記すべき家族歴なし.EP合剤を内服中に深部静脈血栓症を発症,それを機に先天性AT3欠乏症と診断され,ワーファリンの内服を開始した.挙児希望のためワーファリンを中止したのち,妊娠成立.妊娠6週よりヘパリン持続皮下注,AT3製剤静注を開始した.血液検査および血管超音波検査上,血栓症の再発を示唆する所見はなかった.妊娠38週0日に分娩待機目的で入院し,ヘパリンを持続皮下注から点滴静注に変更した.子宮内環境の悪化が疑われたため,妊娠39週6日に分娩誘発を行ったところ,胎児仮死を認めたため緊急帝王切開術を施行.2492gの男児を得た.アプガースコア9点(1分後).胎盤発育は週数相当であったが,径1cm以下の梗塞巣の散在を認めた.術後は,低分子ヘパリン持続静注,AT3製剤静注を行い,術後6日目よりワーファリンを併用し,術後13日目に低分子ヘパリンを中止した.術後経過は良好であった.本症例では,妊娠中,分娩時,産褥それぞれの時期に応じた適切な抗凝固療法を行い,血栓症再発を予防することができた.一方で,胎盤に微小な梗塞巣が散在しており,児のIUGR,胎児仮死との関連が示唆される.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2) 222-222, 2003


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