|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
妊娠・分娩(8) 子宮内外同時妊娠治療後,挙児を得た1例
伊香 加納子1), 笹 秀典2), 古谷 健一1), 田中 壮一郎1), 松田 秀雄1), 菊池 義公1)
防衛医科大学校産婦人科1), 防衛医科大学校分娩部2)
子宮腔内と子宮外の同時妊娠は稀であり,その頻度は妊娠約30,000件に1件と報告されている.不妊症治療として排卵誘発を行った場合の子宮内外同時妊娠の頻度は約1000分の1といわれている.今回,子宮内外同時妊娠の1例を経験したので報告する.症例は,35才,1経妊1経産,2002年7月28日から5日間を最終月経として自然妊娠.妊娠7週4日,当院初診.子宮内に頭臀長1.1cmの心拍陽性の胎児を認めた.妊娠8週2日,急性腹症で来院,血圧90/50mmHg,末梢冷感もありプレショック症状を呈した.経腟超音波検査で,子宮内には頭臀長1.4cmの胎児,子宮左側に血液凝固塊様の中に心拍陽性の胎嚢を認めた.子宮内外同時妊娠の診断で,緊急手術施行.手術所見として,腹腔内に2000ml以上の出血,左卵管峡部妊娠破裂と胎嚢を認め,左卵管切除施行し,MAP6単位輸血した.術後,子宮内の妊娠は順調に経過し,分娩に至った.子宮内外同時妊娠は,超音波で子宮外に明らかな胎児の像がみえたり,子宮外妊娠破裂などの症状が起こった場合しか診断は困難である.妊娠の診断にあたっては,子宮内の胎嚢確認後,付属器のチェックも同時に行うことの必要性を再認識する必要があると思われる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
224-224, 2003
|