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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
妊娠・分娩(8) hCG値が高値を示し無症状であった一側性卵管自然双胎妊娠の一例
西 弥生, 三浦 敦, 阿部 祟, 馬場 直美, 明楽 重夫, 米山 芳雄, 竹下 俊行, 荒木 勤
日本医科大学産婦人科
生殖補助医療の需要増大に伴い多胎妊娠率は上昇しており,それに合わせて,子宮内外同時妊娠などの異所性妊娠も増加しているが,自然妊娠での一側性卵管双胎妊娠は稀である.今回我々は,hCG値が高値を示したにもかかわらず,無症状であった一側性卵管自然双胎妊娠の一例を経験したので報告する.症例は33歳,未経妊未産婦,最終月経は平成14年12月20日から6日間.平成15年2月19日,無月経を主訴に当科を受診し妊娠反応は陽性であったが,経腟超音波検査上,子宮腔内に胎嚢を認めなかった.2月26日受診時,少量の性器出血を認めたが下腹部痛はなく,経腟超音波検査上,子宮腔内に胎嚢を認めず,付属器に圧痛はなかった.血中hCG値が17,078mIU/mlと高値であったため,子宮外妊娠又は絨毛性疾患を疑い2月27日より入院とし,同日子宮内容除去術を施行した.内容は大量の脱落膜様組織であり絨毛組織は明らかでなかった.3月1日,血中hCG値は13,882mIU/mlと低下せず,腹部CTにて,右付属器に2cm大の嚢胞を2個認め,右卵管妊娠の診断で開腹手術を施行した.右卵管の腫大(2.5×7.0cm)を認め,腹腔内出血はなく,両側卵巣は正常大であった.右卵管切除術を施行したところ,卵管内の双胎妊娠であった.血中hCG値は術後速やかに低下し,血中hCG値が高値を示したのは双胎妊娠のためと考えられた.血中hCG値が高値を示す異所性妊娠症例では,着床部位が1ヵ所でない可能性を念頭に置き診断することが重要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
225-225, 2003
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