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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
産褥 産褥期の恥骨部痛に対する腰腹部固定帯(骨盤支持ベルト)の効果
合阪 幸三, 土居 美佐, 佐々木 弓子, 尻高 史啓, 秋山 純子, 岡田 紀三男, 小畑 清一郎
御茶ノ水・浜田病院産婦人科
【目的】近年,重症の妊産婦の腰痛・恥骨部痛の原因として,骨盤輪を形成する仙腸関節および恥骨結合のズレによるものが注目されており,治療として仙腸関節および恥骨結合を支持する腰腹部固定帯(骨盤支持ベルト)の装着が有効であると報告されている.今回我々は,産褥期に重症の恥骨部痛のため歩行障害を認めた症例に対して骨盤支持ベルトを用い,良好な成績が得られたので報告する.【方法】骨盤に器質的疾患を持たない正常経腟分娩となった初産婦で,産褥期に歩行制限などを有する重症の恥骨部痛を訴えた5症例(P群)を対象とした.恥骨部痛の発症はいずれも妊娠30〜34週であったが,妊娠経過中はとくに治療を必要としなかった.経腟分娩終了後に恥骨部痛を訴え,歩行にも困難を来すようになったため,骨盤支持ベルト(トコちゃんベルト)を装着させ,その効果を検討した.ベルト使用前後の恥骨結合上端部開角(以下A)を経腹超音波断層法により測定し,客観的評価の指標とした.【成績】すべての症例で,骨盤支持ベルト装着により歩行障害は著明に改善した.恥骨部痛発症時のAは,107.4±35.2度であったが,骨盤支持ベルトの装用により,83.8±20.5度と有意に小さくなった(p<0.05).ベルト装着による副作用は認められなかった.【結論】産褥期に恥骨部痛を訴える症例では,Aが広くなることが明らかとなり,Aは恥骨部痛の客観的指標となり得る.骨盤支持ベルトは装着によりAを正常範囲に矯正することにより症状を改善することが明らかとなった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
227-227, 2003
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