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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
胎児・新生児(1) 単胎日本人妊婦14,853名のトリプルマーカーとクアトロテストの胎児スクリーニングに関する有用性の比較検討
恩田 威一1), 杉浦 健太郎1), 新家 秀1), 大浦 訓章1), 落合 和彦2), 木村 英三3), 安田 允4), 下村 勝則5), 飯沼 和三6), 左合 治彦7), 北川 道弘7), 田中 忠夫1)
東京慈恵会医科大学産婦人科1), 慈恵青戸病院産婦人科2), 慈恵第三病院産婦人科3), 慈恵柏病院産婦人科4), ジェンザイム・ジャパン検査会社5), 愛児クリニック小児科6), 国立成育医療センター産婦人科7)
【目的】母体血清中のAFP,hCGおよびuE3を組み合わせるトリプルマーカー(TM),これにInhibin Aを加える事(クアトロテストQT)により,ダウン症(T21)の検出率が向上する事が既に報告されているが,本邦では報告が殆どない.T21胎児(同時に開放性二分脊椎(OSB),18トリソミー(T18))の確率算定を行い,スクリーン陽性率,検出率等から侵襲的検査実施前のスクリーニング検査としてのQTの有用性をTMと比較検討を行う.【方法】94年4月〜02年5月の間に当院及び関連施設52施設で自ら希望しインフォームドコンセントの得られた日本人単胎妊婦14,853名に対して妊娠15〜21週の間に母体血清スクリーニング検査(TM:94年4月〜00年7月13,318名,QT:99年12月〜02年5月1,535名)を実施し,胎児のT21,OSB及びT18の確率を算定した.カットオフ値をそれぞれ1:295,1:290,1:100とし,これより確率の高い者で検査を希望する者に対しては侵襲的検査を含む診断検査を実施した.分娩後に追跡調査を実施した.【成績】TM受検者の平均年齢は31.6歳,T21スクリーン陽性率12.5%(35歳以上30.2%,35歳未満6.8%),追跡調査の回収率85.3%で,T21スクリーン陽性者の71.2%が羊水検査を受けた.T21の検出率は93%(25/27)であった.QT受検者の平均年齢は32.1歳,T21スクリーン陽性率7.7%(35歳以上17.9%,35歳未満3.9%),追跡調査の回収率80.3%で,T21スクリーン陽性者の羊水検査受検率は68.9%,T21検出率は100%(4/4)であった.【結論】QTではTMと比較してT21スクリーン陽性率は約40%低下し,羊水検査対象者が減少するが,検出率は93%から100%になった事から,本スクリーニング検査が侵襲的検査前の物として有用である事が示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
228-228, 2003
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