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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
胎児・新生児(4) 後頚部皮下浮腫を伴った弯曲肢異形成症の一例
青山 美加1), 瀬戸山 琢也1), 橋本 栄1), 平吹 知雄1), 山中 美智子1), 明石 敏男2)
神奈川県立こども医療センター周産期医療部産科1), 熊切産婦人科2)
弯曲肢異形成症(campomelic dysplasia)は,四肢の弯曲が特徴的な四肢短縮症で,出生10万に対し0.5〜1.6人とかなりまれな疾患である.生命予後は不良で大多数は新生児期から乳児期に死亡する.以前は常染色体劣性遺伝と考えられていたが,17番染色体の長腕に座位するSOX9を責任遺伝子とする常染色体優性遺伝であることが判明し,大部分は新生突然変異である.今回,妊娠19週に胎児四肢短縮症が疑われ,人工妊娠中絶後の児の全身X線写真所見より弯曲肢異形成症と診断された一例を経験した. 症例は26歳,1回経妊0回経産.既往歴および家族歴に特記事項なし.近医にて妊娠18週の胎児超音波で後頚部の浮腫を指摘され,妊娠18週1日当科へ紹介された.後頚部に1.6cm厚の皮下浮腫を認め,胸部にも軽度及んだが明らかな腔水症はなかった.他に大腿骨の屈曲が疑われた.妊娠19週1日皮下浮腫に変化なし.BPD 46.9mm(20週相当),FL 25mm(軽度短縮),上腕骨と大腿骨が「く」の字に屈曲していた.前腕は明らかな変形を認めず長さも週数相当だが,下腿骨が明らかに短く,両側ともに極端な内反足を呈した.また軽度の胸郭低形成が疑われた.以上より,この時点では診断の確定できない四肢短縮症が疑われた.予後についても特定は困難であったが,ご夫婦は妊娠の継続を希望せず,前医で妊娠21週2日に380gの女児を人工死産した.出産後の児全身X線写真では,特に下腿が屈曲短縮し,腸骨が細長く,坐骨の骨化が遅れ,肩甲骨が低形成などの所見を認め,弯曲肢異形成症と診断された.後方視的に胎児超音波所見は同疾患に矛盾しなかった.文献的考察を加え報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
234-234, 2003
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