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第105回学術集会(平成15年6月8日)

【一般演題】
胎児・新生児(4)
Body stalk anomalyと出生前診断された一例


御子柴 尚郎1), 松岡 隆1), 青木 弘子1), 大塚 由紀子1), 大槻 克文1), 岡井 崇1), 和田 正浩2), 九島 巳樹2)
昭和大学産婦人科1), 昭和大学病理2)


 Body stalk anomaly(BSA)は前腹壁異常のうち最も稀な,また児の予後が不良な疾患である.我々は妊娠19週にBSAと診断し,両親の希望により自然経過を追った症例を経験したので報告する.(症例)35歳,2G0P1SA1IA.前医で超音波検査により腹部臓器の脱出を,MRI画像で臍帯の短縮を指摘され,妊娠19週,胎児腹壁破裂疑いで当院を紹介された.当院の超音波検査でも内臓脱出(胃,小腸,大腸,肝臓,膀胱),脊椎の側弯,胸郭低形成を認めBSAと診断した.なお,前医で施行された羊水検査の結果,染色体は正常核型46XYであった.妊娠21週,胎児の予後について本人及び夫に説明し方針を協議したところ,妊娠継続を希望され外来で自然経過を観察することとなった.また,出生後の延命処置は希望されなかった.30週2日,前期破水となり入院,30週4日,幸帽児のまま骨盤位で娩出となった.胎児は分娩中に死亡した.病理解剖の結果,腹壁欠損,腹腔内臓器脱出,側弯症,単一臍帯動脈等の所見からBSAの診断が確定した.(考察)胎児診断は両親に対して安心を与える一方,場合によっては心理的な負担を与える可能性がある.現在,胎児期及び出生後早期からの適切な治療により良好な結果の得られる疾患が増えているが,本症例のように予後の悪い疾患も存在する.本例では,入念なコンサルテーションが両親の心を支えたと考えている.胎児疾患が診断された時は,治療法や予後などについてもできるだけ詳細な説明を行うこと,方針は両親との話し合いで決定することの重要性を再認識した症例であった.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2) 235-235, 2003


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