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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
子宮頸部悪性腫瘍(1) 円錐切除後子宮頸管狭搾に対し拡張術を行い自然妊娠に至った1例
酒見 智子, 佐藤 孝道, 栗下 昌弘, 板坂 俊典, 斎藤 理恵, 塩田 恭子, 渡辺 浩二, 真島 洋子, 藤田 聡子, 西山 幸江, 秋谷 文, 銭 鴻武
聖路加国際病院産婦人科
子宮頸部円錐切除術は,子宮頸部異形成や初期頸部癌(上皮内癌,微少浸潤癌)に対する診断および治療目的に広く用いられている.術後の妊孕性への影響としては,頸管粘液の減少,頸管狭窄,頸管閉鎖が挙げられる.頸管狭窄は円錐切除後約1%発生するといわれているが,頸管拡張術後も再狭窄を起こしやすく,治療に苦慮する合併症である.今回我々が経験した,頸管拡張術後,自然妊娠に至った1症例を,文献的考察を加えて報告する.〔症例〕37歳1回経妊1回経産婦.1998年11月検診にて細胞診異常を指摘され,前医受診.CIN3の診断にて手術予定であったが,妊娠のため延期となり,2000年2月分娩.2000年6月に円錐切除術施行となった.2001年12月に月経再来したが,激しい月経痛と月経持続期間の延長を認め,頸管狭窄と診断された.2002年4月当科外来初診.月経5日目の視診にて針頭大の出血点のみ確認,超音波検査にて子宮内瘤血腫を認めた.月経7日目に留血腫状態であることを確認,麻酔下でケリー鉗子で膜状癒着組織を鈍的に拡張した.ネラトン13号を経腹超音波ガイド下に内子宮口上までの長さに調節,膣方向を縦2分して3-0青ナイロンで膣壁と縫合固定し,ドレーン留置とした.術後4週間ドレーンは留置し,その間内服抗生剤投与併用した.外来にて抜糸およびドレーン抜去施行.その後再発所見なく,2003年4月自然妊娠に至った.現在まで妊娠経過に特記すべきことなく経過している.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
289-289, 2003
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