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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
子宮頸部悪性腫瘍(1) 異なる転帰を辿った子宮頚癌合併妊娠の2例
松下 良伯, 高橋 慎治, 小泉 るい, 武隈 宗孝, 松井 浩之, 芹沢 麻里子, 山下 美和, 岡田 善親, 前田 真, 佐倉 東武
県西部浜松医療センター産婦人科
子宮頚癌若年化に結婚出産年齢の晩年化も加わり,その合併妊娠は増加傾向にある.そして娩出から根治術施行の時期,適応などの問題が山積みされている.今回,異なる転帰を辿った子宮頚癌合併妊娠の2例を経験したので,考察を加えて報告する.症例1:25歳,G2P0.妊娠初期の子宮腟部細胞診クラス1.妊娠28週時出血あり,妊娠29週時の細胞診クラス3a.妊娠31週再検でクラス5となり,組織診で扁平上皮癌と診断,精査治療目的で妊娠32週時に当院紹介受診となった.子宮頚癌2a期と診断,根治術の適応と判断し翌週の妊娠33週時に帝王切開術(2012g,女児,AP 8/8)並びに広汎子宮全摘兼リンパ節郭清術を施行.術後病理診断はpT2aN1M0で,全骨盤腔へ40Gy照射した.以降,児の発育も含め順調であった.しかし母体は術後2年経過時に胸椎椎体への転移再発をきたし,その後照射並びに化学療法を行うも術後2年11ヶ月で死亡した.症例2:34歳,G2P1.妊娠14週時,性交出血あり近医受診,子宮腟部細胞診クラス4のため精査目的で妊娠15週時に当院紹介受診となった.細胞診クラス3b,組織診CIN 3,妊娠16週時のMRIで子宮頚癌1a期が疑われた.妊娠継続希望あり,細胞診およびMRIでの厳重な経過観察となった.妊娠20週時のMRIでは変化なく,妊娠29週時の細胞診クラス4.その後,視診上で腟部病変に拡大傾向を認め,妊娠34週時に帝王切開術(2238g,女児,AP 7/8)並びに広汎子宮全摘兼リンパ節郭清術を施行.術後病理診断はpT1aN0M0で追加療法は施行せず,現在まで術後2年間は再発もなく,母児ともに順調である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
290-290, 2003
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