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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍(1) 高用量MPA療法で生児を得た子宮内膜癌の一例
小木 三郎, 朝倉 禎史, 川瀬 里衣子, 市川 雅男, 五十嵐 健治, 若月 雅美, 鴨井 青龍, 河村 堯
日本医科大学付属千葉北総病院産婦人科
近年,子宮内膜癌に酢酸Medroxyprogesterone(以下MPA)による高容量黄体ホルモン療法が試みられているが最近,20歳の子宮内膜癌症例に対して子宮温存療法を試みその後妊娠が成立し生児分娩に至るという症例を経験した.症例:20歳の未妊婦,4ヶ月間の無月経の後の不正出血で受診,初診時超音波にて子宮内膜が1.8cmと厚く,細胞診はclass III,さらに試験組織診ではatypical complex endometrial hyperplasiaとの診断をえた.MRI所見では,子宮筋層への浸潤は疑われず,またCT所見でもリンパ節転移は否定的であり進行期分類Iaと診断.MPA療法(600mg/day)を開始.MPA投与16週目に子宮内膜の悪性像は消失.1ケ月おきに子宮内膜組織診,病理組織診を交互にくり返し行い,再発のないことを確認.MPAは,12ケ月後より斬減し18ケ月後には10mg/dayまで減量した.患者の強い希望から早期の妊娠を計画し,治療開始24ケ月後からは排卵誘発剤(クロミフェン)を投与し6ケ月後に妊娠5週と診断.子宮頚部細胞診を3ケ月おきに実施.妊娠経過に異常を認めず妊娠38週6日,正常分娩にて3310gの女児を得る.分娩後24ケ月経過したが子宮内膜の細胞診及び病理組織診ともに異常を認めてない.まとめ:20歳の子宮内膜癌(Stage 1a,G1)症例に対して高容量MPA療法を行い,子宮を温存して生児を得た.病理組織学的に癌が消失するまでに約4ヶ月を要し,その間の組織象および細胞象の変化を経時的に観察した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
293-293, 2003
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