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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍(1) 子宮腺筋症からの発生が疑われた子宮体部腺癌の一例
山城 千珠, 古屋 智, 児島 利絵子, 楯 浩行, 井原 規公, 山口 隆, 三島 みさこ, 神山 洋, 横尾 郁子, 伊豆田 誠人, 加藤 賢朗
虎の門病院産婦人科
近年,類内膜性組織からの癌化の報告が増えてきている.今回,我々は子宮腺筋症と変性子宮筋腫の診断で単純子宮全摘術を施行したものの,病理検査で子宮腺筋症からの発生が疑われる腺癌と診断された一例を経験したので報告する.症例は49歳,3回経妊2回経産,27歳時,妊娠中に卵巣嚢腫で左付属器切除の既往がある.26歳より子宮筋腫を指摘されており,1999年3月(46歳)より嚢胞性部分を合併した子宮腺筋症として当院で経過観察を行っていた.2002年10月,嚢胞性腫瘤の増大をみとめMRIを施行し,子宮腺筋症と隣接した6.5cm径の腫瘤をみとめ変性子宮筋腫と診断した.2003年1月7日,単純子宮全摘術を施行した.子宮左側壁内腫瘤の割面は境界明瞭な白色腫瘤で小嚢胞が多発しており,筋層内筋腫の変性と考えた.病理検査では腫瘤内に増生した平滑筋細胞の中に異型上皮よりなる腺腔が多発しており,子宮体部腺癌と診断された.腫瘍細胞は腫瘤内に限局しており,子宮内膜には異常をみとめず,腫瘍組織に隣接して内膜腺組織を一部に認めた.術後の腫瘍マーカーは正常だった.2003年1月28日,右付属器切除,骨盤内リンパ節郭清術を追加した.病理検査で右外腸骨リンパ節に転移を認めたため,TJ療法(PTX,CBDCA)を6コース施行後の現在,経過良好である.今回の症例について若干の文献的考察を加えて検討する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
293-293, 2003
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