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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍(1) 右副腎転移で再発した子宮体部癌1bの一例
小峯 志保子, 三井 真理, 濱野 聡, 幾石 泰雄, 坂田 寿衛
社会保険横浜中央病院産婦人科
【緒言】副腎は血流に富み肺癌などの血行性転移を見ることが多いが,婦人科悪性腫瘍の転移は比較的稀である.我々は早期子宮体部癌の手術および化学療法後48か月で右副腎に転移を認めた症例を経験したので報告する.【症例】69才.平成11年2月子宮体部癌にて広汎子宮全的術および骨盤リンパ節廓清術を行った.(術後診断1b,G1)術後CAP療法を3クール施行し,以後経過観察を行っていた.平成15年2月CA-125の上昇を認め再発の全身検索をおこなったところ,CT上,右腎外側後腹膜下に直径約5cmの腫瘍を認めた.他に転移再発所見がないことを確認し,泌尿器科にて15年6月摘出手術を施行した.病理組織よりendometrioid carcinoma(metastatic)と診断された.手術時も他に転移播種所見は認められず術後経過良好,現在化学療法を施行中である.【考察】Medlineで検索した範囲では現在のところ他に子宮体癌の副腎転移報告例は見られず,本症例は極めて稀なものである.子宮から直接副腎に至る転移経路は考えがたく肺や腹部大動脈リンパ節からの二次転移が考えやすいが本症例では他に腫瘍をみとめず転移経路は不明である.子宮体部癌再発の好発部位は腟断端部や骨盤リンパ節,肺,肝などであり,術後の経過観察ではこれらの部位の検索がなされる.本症例ではCA-125が有用であった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
295-295, 2003
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