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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍(2) 進行及びhigh risk子宮体癌に対するTJ療法の試み
田村 正明, 中澤 禎子, 金枝 貴史, 小平 博, 今井 一夫
横須賀市立市民病院産婦人科
【目的】近年,子宮体癌の急激な増加傾向がみられ,子宮頸癌との比率も初期症例を除けば,その比率は同等に近い発生数である.卵巣癌と異なり,標準的な化学療法は,確立されておらず,進行及びhigh risk子宮体癌に対する治療成績は,満足される結果には至っていない.最近,卵巣癌で広く用いられているTaxolが単剤もしくは併用療法にて子宮体癌に対し高い奏功率,有効性が報告されており,当施設でも,進行及びhigh risk子宮体癌に対し,T-J(175mg/m 2+AUC5)療法のregimenで治療を試み,その有用性に関し検討した.【対象】2000年2月から本年5月末まで,インフォームドコンセントを得た上でT-J療法を施行したIIa(adenosquamous)1例,IIIa 2例,IIIc 6例の9症例,年令は,43から69歳(平均56歳)で,III期の組織型は,endometrioid 6例,clear cell 1例,carcinosarcoma1例である.【成績】治療は,6〜8コースを目標に施行されている.術後,補助化学療法のため評価可能病変は乏しく,腫瘍マーカーを有する症例では,化療終了時全例正常化した.観察期間は,52〜1154日,骨盤内再発1例死亡,PALN再発加療中1例以外は,無病生存中である.副作用による治療中止例はなく,compliance良好であった.【結論】本邦でも,T-J療法が子宮体癌に対して高い奏功率が報告され,当院の症例でも,生存率の向上に寄与し,有効な治療法となる可能性が高い印象である.保険上の問題もあり,今後多施設共同研究を進める価値のあるレジメンと思われる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
296-296, 2003
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