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第106回学術集会(平成15年10月5日)

【一般演題】
卵巣腫瘍(1)
卵巣奇形腫内部に神経への分化を有する未熟な細胞群に構成された結節を認めた1例


武谷 千晶, 安江 正憲, 菊池 淳, 千島 史尚, 坂元 秀樹, 山本 樹生
日本大学産婦人科


 今回我々は卵巣奇形腫内部に神経への分化を有する未熟な細胞群に構成された結節を認めた1例を経験したので報告する.症例は30歳2回経妊1回経産.平成15年5月妊娠7週にて自然流産時に右卵巣腫瘍を指摘されていた.以降前医にて経過観察を指示されていたが受診せず,平成15年2月,下腹部痛を主訴に当科外来初診.超音波断層法にて左卵巣に58×46mmの単房性卵巣嚢腫を認めた.MRIではT1強調画像にて低信号,T2強調画像にて高信号であり,漿液性卵巣嚢腫が疑われたが,壁に約1cm大の充実性の隆起を認めたため悪性腫瘍も否定できなかった.このため,右付属器切除術を施行した.腫瘍内容は褐色の粘液で,内部に径1cm大の円形隆起を認めた.病理組織学検査上,Hematoxirin-Eosin染色では,嚢胞壁には皮膚成分,中枢神経組織が認められ,mature cystic teratomaであった.円形隆起の部分には異形細胞がclusterを形成し,organoid pattern,ロゼット様構造,索状配列が認められた.免疫染色にて,同部位ではki67,vimentin,NSE,S-100が陽性,keratin,neurofilament,chromograninは陰性であった.これらの所見より少なくとも神経系への分化を有する未熟な細胞に構成された結節であり,immature teratomaの可能性が疑われた.ただ,ロゼット様部分の一部にsynaptophysinの陽性所見が認められ,primitive neuroectodermal tumor(PNET)の可能性が否定できない像であった.組織学的構造と,Ki67が多数陽性であることから,悪性と診断されたが,被膜破綻はなく,妊孕性温存の希望があるため追加治療は施行せず,今後厳重にfollowする予定である.teratomaに合併したPNETであれば稀であり,ここに報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3) 300-300, 2003


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