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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
卵巣腫瘍(2) 直腸にリンパ行性に転移し,腸重積をきたした卵巣癌の一症例
佐々木 奈奈, 浜田 佳伸, 安藤 昌守, 星本 和種, 友部 勝実, 矢追 正幸, 堀中 俊孝, 榎本 英夫, 林 雅敏, 大藏 健義
獨協医科大学越谷病院産婦人科
【緒言】原発性卵巣癌はリンパ行性や血行性に転移するが,近接臓器である直腸にリンパ行性転移をきたし,腸重積をきたすことは稀である.【症例】48歳,2経妊2経産.既往歴,家族歴に特記すべきことなし.腹痛,腹部膨満感にて近医受診,卵巣腫瘍の疑いにて当院当科紹介受診となった.MRIにて径10cmの多房性の腫瘍を認め,CA19-9 2148IU/ml,CA125 574IU/ml,CEA 3.0IU/mlであり,腹水細胞診はclass5,adenocarcinomaであった.上部消化管検査では異常を認めなかったが,下部消化管検査にて直腸に隆起性病変を認めた.病変の生検結果は,adenocarcinoma,病変の免疫染色にてcytokeratin7(+)/cytokeratin20(-)であり,primary ovarian carcinomaの転移あるいは浸潤が疑われた.腫瘍の可動性が不良であることと,primary ovarian carcinomaの可能性が高いことより,インフォームド・コンセントを得た上でまずpaclitaxel 175mg/m2,THP-ADM 35mg/m2,CBDCA AUC=5のchemotherapyを3コース行った.腫瘍の縮小,腹水の消失,可動性の出現よりope予定としたところ,下血及び下腹痛が出現したため,まず選択的動脈塞栓術によって止血し,開腹術を行った.卵巣は径9cmに腫大していだが直腸への浸潤は認めず,直腸は腫瘍に起因したと思われる腸重積の状態であった.腹式単純子宮全摘術,両塞付属器切除術,Hartmann術を行った.病理結果はserous papillary adenocarcinoma of ovary,直腸はリンパ管浸潤が強く,ovaryと同様の病変でありリンパ行性の転移であった.現在,chemotherapy継続中である.【結語】腸重積をきたした原発性卵巣癌の一症例を経験した.転移様式等について文献的に考察を加えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
302-302, 2003
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