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第106回学術集会(平成15年10月5日)

【一般演題】
卵巣腫瘍(3)
卵巣外子宮内膜症より発症した類内膜癌の一例


伊藤 百合子, 菊地 真理子, 高橋 幸子, 木村 正博, 保母 順造, 大澤 洋之, 小川 博和, 小林 浩一, 畑 俊夫, 石原 理
埼玉医科大学産婦人科


 子宮内膜症は稀に悪性腫瘍を合併することが知られている.しかし卵巣外子宮内膜症から発生した癌の報告は少ない.今回,我々は下血を主訴とし,卵巣外子宮内膜症組織に由来すると考えられる類内膜癌症例を経験したので報告する.【症例】51歳,2回経妊2回経産.月経は不順であり最終月経はH15.3. 9から7日間.既往歴としてS53に右卵巣嚢腫摘出術,H7子宮頚部ポリープ切除がある.H14.12月頃より下血を自覚していたが,その後消失.H15.1月再び下血が出現したため,近医を受診した.同医にてCT施行したところ骨盤内腫瘍を指摘され,H15.4. 2当院を受診した.初診時,内診上,左付属器周囲に約8cm大の腫瘤を認め,直腸診ではその腫瘤は直腸に浸潤破綻していた.内視鏡下で生検を施行したところendometrioid adenocarcinoma(卵巣由来)であった.またCA125 170U/ml,CEA 2.5ng/mlであった.手術予定であったが,H15.4. 17腹痛,嘔吐を認め,イレウスを発症したため緊急入院し,H15.4. 22手術を施行した.開腹時,子宮後面と直腸前面,左付属器が癒着し一塊となっており,腫瘍はダグラス窩に子宮,付属器とは分離して存在していた.また,左卵巣には悪性腫瘍の組織は認めなかった.直腸腹膜から直腸粘膜にまで浸潤していた直径約8cm大の腫瘍は,ハルトマン手術により摘出した.摘出腫瘍の病理診断は大腸癌の染色パターンとは明らかに異なり,病理学的にEndometriosisをoriginとしたEndometrioid adenocarcinomaが考えられた.術後,現在までTJ療法2コース施行し今後も継続予定である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3) 305-305, 2003


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