関東連合産科婦人科学会
会員ログイン 代表挨拶
総会・学術集会
学会誌
定款
公告
利益相反
役員構成
事務局案内
求人施設一覧
関連リンク

 関東連合産科婦人科学会会誌 オンラインジャーナル

<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る

第106回学術集会(平成15年10月5日)

【一般演題】
卵巣腫瘍(4)
卵巣mucinous cystadenocarcinomawith anaplastic carcinomaの一例


櫻井 学, 沖 明典, 安倍 梓, 安倍 加奈子, 北 直喜, 渡辺 秀樹, 岡田 奈加子, 佐藤 豊実, 角田 肇, 吉川 裕之
筑波大学臨床医学系産婦人科


 壁在結節を形成する卵巣粘液性腫瘍が稀に存在することが知られている.このなかで,壁在結節にanaplastic carcinoma成分を認めるmucinous cystadenocarcinoma with anaplastic carcinomaは進行が早く予後が悪いことが知られている.今回我々はこの稀な疾患を経験したので報告する.症例は62歳1回経産婦.巨大腹部腫瘤のため,当科に紹介受診した.超音波検査所見で季肋部に達する単房性の嚢胞性腫瘤で腫瘍壁に2カ所充実性部分を認めた.MRI上30×20×20cmの粘液性嚢胞性腫瘍に壁在結節を認め,胸腹部CTで縦隔リンパ節・肺・肝・胸椎に多発転移を認めた.CA19-9値が2700U/mlと高値のため,血管造影検査で左卵巣原発であることを確認し,両側付属器切除術及び大網切除術を施行した.術中の腹腔洗浄細胞診は陰性,また腹腔内播種性病変や骨盤内・膨大動脈リンパ節の腫大は認められなかった.術後病理検査の結果,mucinous cystadenocarcinoma with anaplastic carcinoma componentと診断された.術後の縦隔リンパ節生検の結果転移を認め,左卵巣癌IV期が確定した.TJ療法を1コース施行したが奏功せず,イレウス・肺炎を併発して初回治療より66日目に死亡した.本疾患は非常に稀な疾患とされ,報告例も少ない.発見時にすでに転移が認められることが多く,予後不良と言われている.本症例は腫瘍内容10000mlと報告例のなかでは最大のものであり,初診時より多臓器に遠隔転移を来しており,急速な転帰を辿った.以上より,卵巣原発粘液性腫瘍を認めた場合,本疾患を念頭において充実性成分の有無に注意し,壁在結節を認めた場合は転移巣の全身検索を含めた厳重な管理が必要であると思われた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3) 307-307, 2003


一般社団法人関東連合産科婦人科学会事務局 〒102-0083 東京都千代田区麹町4-7 麹町パークサイドビル402 株)MAコンベンションコンサルティング内
TEL:03-3288-0993 FAX:03-5275-1192 E-mail:kantorengo@jsog-k.jp
Copyright (C) 一般社団法人関東連合産科婦人科学会