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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
卵巣腫瘍(4) 卵巣原発癌肉腫の一例
梅崎 泉1), 村岡 光恵1), 高木 耕一郎1), 太田 博明2), 相羽 元彦3)
東京女子医科大学第二病院産婦人科1), 東京女子医科大学産婦人科2), 東京女子医科大学第二病院病理3)
卵巣原発の癌肉腫は卵巣悪性腫瘍全体の1%未満という稀な腫瘍である.今回我々は卵巣原発の巨大な癌肉腫を経験したので報告する.【症例】57才G2P2 53才閉経.腹部膨満感を主訴に当科初診.触診上臍下2横指に及ぶ可動性不良な硬い腫瘤を触知した.血液検査ではCA125が2070IU/ml,LDHが1778IU/lと著明な上昇を認めた.MRI所見では17×11×22cmの充実性腫瘍で,T2強調像で不均一な高信号,T1強調像で不均一な低信号を呈し,出血と考えられる高信号域や不均一な造影効果が混在していることから壊死を伴った卵巣腫瘍と診断した.開腹所見:腫瘍は左卵巣から発生しており,S状結腸および小腸の一部と腫瘍表面が強固に癒着し,腹腔内播種を伴っていた.腹式単純子宮全摘術,両側付属器切除術,大網切除術,小腸部分切除術,S状結腸切除術を施行.腫瘍は肉眼的には出血性壊死を伴ってほとんどが充実生を呈し,重量は3110gであった.なお腹水は淡血性少量で細胞診は陰性であった.病理学的所見:HE染色では乳頭状に増殖する腺癌成分と充実性成分の混在を認めた.この充実性成分は特殊染色にてAE1/AE3陰性,vimentinとS-100βは陽性を示し,軟骨への分化を示す肉腫で,病理組織学的には卵巣原発のheterologousな癌肉腫と診断された.手術進行期分類はIIIc期に相当し,術後化学療法として現在IAP療法を施行中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
309-309, 2003
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