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第106回学術集会(平成15年10月5日)

【一般演題】
卵巣腫瘍(5)
Monthly TJ療法からWeekly TJ療法に変更し治療目標到達が可能となった肝障害を併発した卵巣癌の一例


長谷川 哲哉, 片岡 尚代, 井畑 穰, 鈴木 理絵, 助川 明子, 小笠原 智子, 宮城 悦子, 小野瀬 亮, 平原 史樹
横浜市立大学産婦人科


 症例は59歳女性.3回経妊3回経産.右鎖骨上窩に腫瘤を認め近医受診.吸引細胞診でmetastatic papillary adenocarcinomaが認められ精査したものの甲状腺・消化管に異常を認めず,当院紹介受診.CT,MRIにてダグラス窩に7×5cmの腫瘤を認め,CA125も71U/mlと高値,卵巣癌疑いの診断のもとに開腹,術中診断にて卵巣癌(serous papillary adenocarcinoma)と診断し単純子宮全摘,両側付属器切除,大網切除術施行.術後16日よりTJ療法(Paclitaxel 175mg/m 2,Carboplatin AUC=4.5 500mg/body)を開始した.TJ療法5日目,GOT 296,GPT 917と著しい上昇を認め,投与薬剤をすべて中止したが,術前にみられた右鎖骨上窩リンパ節腫大ならびに術後出現した傍大動脈リンパ節腫大のいずれも1回の化学療法に反応して縮小した.以上よりTJ療法が奏効したと考え,肝機能改善後,Weekly TJ療法(Paclitaxel 70mg/m 2,Carboplatin AUC=1.7 200mg/body)に変更し,GOT 108,GPT 175まで上昇したもののそれ以上の悪化を認めず,6コース(計18回投与)を施行し得た.CA125値は正常化,効果判定のための再開腹手術の方針とし,骨盤内・傍大動脈リンパ節郭清を施行.リンパ節転移はみられなかったものの,ダグラス窩洗浄細胞診で陽性であり,Weekly TJ療法を継続した.現在,進行期上皮性卵巣癌に対し標準的化学療法として,3週間毎投与のMonthly TJ療法が行われているが,副作用軽減を目指したパクリタキセルの様々な分割投与法が検討されている.このような肝機能障害症例に対しては,Weekly TJ療法の施行はその副作用軽減の視点からも十分考慮しうる投与法であると考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3) 311-311, 2003


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