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第106回学術集会(平成15年10月5日)

【一般演題】
卵巣腫瘍(5)
巨大卵巣腫瘍の周術期管理


加村 和雄, 梶原 健, 高橋 幸子, 大澤 洋之, 本間 智一, 小林 浩一, 畑 俊夫, 石原 理
埼玉医科大学産婦人科


 巨大卵巣腫瘍などの腹腔内占有病変は手術により循環・呼吸動態の急激な変化が起こるため,術中・術後管理が重要となってくる.今回,我々は腫瘍重量が約40kg以上であった2症例を経験したので報告する.(症例1)22歳0回経妊.1年前頃より下腹部膨隆感があるも放置.呼吸困難・歩行困難になったため来院.来院時,身長155cm,体重102kg(以前は55kg).CTおよび超音波断層法上,腹腔内を占有する単房性の嚢胞性腫瘤を認めた.(術中所見)エラスター針に腫瘍を穿刺し,20Lを排液し,開腹し残りの内容液を20Lを吸引管を用いて吸引し,2.7kgの右卵巣腫瘍を摘出した.(術後経過)再拡張性肺水腫を来たしていたため挿管したまま帰棟し,人工呼吸器管理,肺水腫に対する諸治療を行った.術後4日目に抜管し,術後12日目に酸素投与中止,術後22日目に退院となった.摘出した卵巣腫瘍はmucinus cystic tumor of borderline malignancyであった.(症例2)75歳4回経産.4年前位から徐々に腹部の膨隆に気付いていたが放置.呼吸困難・歩行困難になったため来院.来院時,身長145cm,体重80kg(以前は40kg).超音波断層法上,腹腔内を占有する単房性の嚢胞性腫瘤を認めた.本人,家族の希望があったため術前に3日間をかけて腫瘍内容液を約26L穿刺,排液した.術直前更に10L穿刺排液し,その後開腹手術を行い,1.7kgの右卵巣腫瘍を摘出した.術後は呼吸状態等に特に異常はなく,術後32日目に退院となった.摘出した卵巣腫瘍はmucinus cyst adenomaであった.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3) 312-312, 2003


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