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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
絨毛性腫瘍・その他 治療中に大出血をきたし,子宮摘出せざるを得なかったIUFD後存続絨毛症の1例
宮本 佳栄, 稲垣 昇, 長西 美和, 谷垣 伸治, 池田 俊之, 矢久保 和美, 福井谷 達郎
さいたま市立病院産婦人科
【緒言】臨床的に転移性胞状奇胎,侵入奇胎,絨毛癌が疑われるが,病巣の組織が得られないか,得られてもその所見が不明確なものを存続絨毛症とよぶ.全奇胎のおよそ10%が存続絨毛症に移行するといわれているが,形態正常な絨毛が臨床的侵入奇態となり存続絨毛症になる例は非常に珍しい.今回我々は,病理学的に形態正常な絨毛が臨床的侵入奇態となり,挙児希望があるも子宮摘出に至らざるを得なかった存続絨毛症の1例を経験したので報告する.【症例】27歳0経妊0経産SLE合併妊婦.妊娠11週4日,外来受診時に胎児心拍なく,子宮内胎児死亡診断.超音断層法上,子宮筋層に蜂巣状陰影が認められた.子宮内容除去術施行中約700gの多量出血が認められたが,組織病理検査上,形態正常な絨毛であった.術後も出血は持続し,子宮筋層の蜂巣状の所見が増加,再度子宮内容除去術を行った.しかし,尿中hCGの下降が悪く,子宮筋層の蜂巣状所見が一層増量および子宮内血流は増加し,存続絨毛症の診断にてメソトレキセートを中心とした化学療法を施行した.hCGの下降傾向は認めるものの,3クール目と4クール目直後に大出血をきたし,4クール目後には輸血後子宮摘出をせざるをえなかった.病理組織検査では,筋層内に形態正常な絨毛がかなり浸潤した存続絨毛症と診断された.結果的にはhCG値は浸潤状況を反映しておらず性格上PSTTに似通っていた.【考察】今回我々は,臨床的には非常にめずらしい存続絨毛症を経験した.当症例では尿中hCG値よりもドップラー超音波検査やMRIなどの画像診断の方が病状を反映しており,存続絨毛症の管理に有意義であることが確認された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
316-316, 2003
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