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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
絨毛性腫瘍・その他 EMACO療法が有効であったMTX抵抗性臨床的侵入奇胎の一例
小川 浩平, 篠原 利枝, 椙田 賢司, 小峯 志保子, 太田 啓明, 千島 史尚, 早川 智, 坂元 秀樹, 山本 樹生
日本大学産婦人科
侵入奇胎は胞状奇胎の亜型で移行率は約10%であり,90%は胞状奇胎に引き続き1年以内に発症する.今回MTX療法に抵抗性を示したがEMACO療法に対して著効を認めた臨床的侵入奇胎を経験したので報告する.最終月経は平成14年10月4日から6日間であった.近医で12月7日に経腟超音波で水疱状の奇胎像を認めた.尿中HCGは1,000mIU/mlであった.12月9日と18日に子宮内掻爬術を施行し,病理の結果は胞状奇胎であった.平成15年1月25日基礎体温高温相を継続し尿中HCG64,000mIU/mlと高値を示し侵入奇胎を疑い,1月27日当科紹介入院となった.尿中HCGは1月29日に14,000mIU/mlと上昇していた.MRIでは子宮右後方に5cm大の腫瘤を認めた.2月6日,試験開腹術を施行したところ,右基靭帯に5×5×3cmの血管増生を主体とした腫瘤を認めた.尿中HCGは2月17日に559,721mIU/mlと上昇したため2月28日からMTX療法(16mg×5日間)を5クール施行した.しかしMTX療法終了後の尿中HCGが4,015mIU/mlと依然高値であった.そこで5月12日より治療法を変更しEMACO療法(VP-16,ACD,MTX,CPA,VCR)を開始した.現在尿中HCGは15 mIU/mlと血中HCG-βは0.5 mIU/mlとほぼ正常域になり現在治療継続中である.MTX抵抗性を示すmiddle riskあるいはhigh riskに対し早期に多剤併用化学療法に変更することが重要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
316-316, 2003
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