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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
骨盤腫瘍(1) 術前に卵巣腫瘍と診断された神経鞘腫の1例
折坂 勝, 本間 進, 雨宮 聡, 濱田 貴, 横山 和彦, 齋藤 裕, 野嶽 幸正
昭和大学藤が丘病院産婦人科
今回我々は,術前に卵巣腫瘍と診断した骨盤内神経鞘腫の1例を経験したので報告する.症例は,42歳女性,2経妊2経産,月経歴28日整.前医にて右卵巣腫瘍を指摘され,平成15年2月17日手術目的にて当科紹介受診した.自覚症状は無いが,診察上,右付属器部分に可動性の乏しい径4cm程度の弾性硬の腫瘤を触知.腫瘍マーカーはCA125,CA19-9,CA72-4,SLX全て正常であるも,経膣超音波検査上,右付属器部分に径4cmの内部に隔壁を有し,内腔へ突出した充実性部分を有する腫瘍を認めた.骨盤MRI上,子宮右背側に約4cmのT1強調画像上低信号,T2強調画像上高信号で壁の一部に不規則な肥厚を有し,悪性が疑われる嚢胞性腫瘍を認めたため,4月21日開腹手術を施行した.子宮,両側付属器に異常は認めず,右後腹膜下に可動性の乏しい径4cm程度の弾性硬の腫瘤を認めた.後腹膜を切開し,仙骨神経付近から発生する腫瘍を認め,S3神経領域の神経鞘腫と診断し,腫瘍を骨盤神経から剥離し,切除した.術中迅速病理検査,病理組織検査ともに神経鞘腫と診断された.手術後,右大腿内側後面に知覚障害を認め,現在整形外科受診中である.神経鞘腫は末梢神経の代表的な良性腫瘍で,schwann鞘から生じ,良性schwann腫とも言われ,骨盤内発生は約1%と非常に稀とされている.神経鞘腫について文献的考察を加え報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
318-318, 2003
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