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第106回学術集会(平成15年10月5日)

【一般演題】
骨盤腫瘍(1)
卵巣がんの術前診断で開腹手術した小腸ATLLの一例


平嶋 泰之, 森田 加奈子, 山道 玄, 山田 義治
静岡県立静岡がんセンター産婦人科


 ATL(成人T細胞性白血病)の原因ウィルスHTLV-1は産婦人科領域では母乳を介した垂直感染が問題となるため,妊娠中にスクリーニングされることが多い.またHTLV-1のキャリアーは40歳以降年間1300分の1の確率でATLに発症すると言われている稀な疾患であるが,発症の予防法はいまだ確立されていない.今回われわれは,胸腹水を伴う腹部腫瘤を認め,卵巣がんの術前診断で開腹したところ,ATLの節外臓器浸潤が小腸周囲に認められた症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.症例は38歳,2経妊2経産.平成15年4月腹部膨隆を主訴に近医受診.骨盤内に腹水があり,当科紹介された.超音波検査およびMRI上,両側卵巣腫瘍とともにomental cakeを示唆する腫瘤を認めた.上部・下部消化管内視鏡検査で所見なし.CA125:720U/ml.外来時に腹満感のため腹水排液を,入院時に胸水による呼吸苦のため胸水排液を施行.胸水および腹水細胞診class 1.卵巣癌大網転移の術前診断で5月8日開腹手術を施行したところ,小腸を巻き込む17×8cmの腫瘤を認めた.子宮には特記所見なく,両側卵巣には類皮嚢腫があり,嚢腫摘出を行った.迅速病理検査で悪性リンパ腫と診断された.小腸機能的端々吻合をおこない,主腫瘤を摘出した.現在当院血液内科で化学療法中である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3) 318-318, 2003


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