|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
骨盤腫瘍(1) 腹部巨大腫瘤にてみつかったXY femaleの1例
服部 里佳, 箕浦 茂樹, 古澤 祐紀, 福田 友洋, 伊藤 めぐむ, 堀川 隆, 永松 あかり, 小石 麻子, 五味淵 秀人, 中村 幸夫
国立国際医療センター産婦人科
【症例】11歳女性,初経初診2ヶ月前【主訴】腹部腫瘤【既往歴】喘息【現病歴】8歳頃より本人は腹部腫瘤感あるも放置,小児科にて喘息治療中に腹部腫瘤みつかり,当科受診となった.【経過】初診時,腹部全体に硬い腫瘤触知,可動性不良,圧痛なし.超音波上,右側に肝下面まで達する充実性腫瘍約20cm大,ダグラス窩にも同様に約10cm大の充実性腫瘍を認めた.子宮は6×2cm,外性器は正常女性型.血液所見は,エストラジオール126.7pg/ml,プロゲステロン2.9ng/ml,CA125 34.1U/ml,CA19−9 14U/ml,AFP<1.5ng/ml,LDH 543U/L,ALP 1058U/L,HCG 56.4mlU/ml,HCGβサブユニット13.9ng/mlであった.CT,MRI,超音波,血液所見より左右卵巣の未分化胚細胞腫を疑い,術前化学療法(BEP)3コース施行した.化学療法施行後,腫瘍は左右とも画像上約5cm大に著明に縮小し,両側腫瘍摘出術施行となった.術中所見は,子宮,卵管,卵管采は正常,両側腫瘍は白色表面平滑であり,正常卵巣と腫瘍の区別はつかなかったため,正常卵巣機能温存の目的で左右腫瘍を一部残存し,左右腫瘍切除術とした.病理所見はgonadoblastoma with dysgerminomaであり正常の原始卵胞や二次卵胞はみられなかった.この結果より患者の父母に同意を得て性染色体検査を施行したところ,46 XYであり,XY femaleの診断となった.今後性腺腫瘍の再発を考慮し,両側性腺腫瘍摘出,ホルモン療法予定である.【考察】この症例は初経(性器出血)があったため,術前に染色体検査を施行せず,手術を2回施行することになった.外性器,内性器ともに女性型であっても,未分化胚細胞腫は性腺芽腫に合併することが多いため,染色体検査が必要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
320-320, 2003
|