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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
骨盤腫瘍(2) 子宮筋腫術後に発生し,肺転移を伴った骨盤内平滑筋肉腫の一例
藤田 真紀, 上杉 健哲, 石井 譲, 小林 英美里
成田赤十字病院産婦人科
一般に平滑筋肉腫の術前診断は難しく,術中所見ないしは術後の摘出子宮の病理学的検索によることが多い.今回我々は,術前に子宮筋腫あるいは子宮肉腫を疑い腹式単純子宮全摘術を施行し病理診断にて子宮筋腫と診断されたが,その後骨盤内に平滑筋悪性腫瘍を疑わせる腫瘍が発生した症例を経験したので報告する.症例は,48才3経産.平成11年7月より不正出血が続き,9月当科受診.子宮筋腫,あるいは子宮肉腫の診断にて11月19日ATH施行.病理検査では,細胞の核分裂数が少なく,細胞異型軽度,細胞密度中等度にて子宮筋腫と診断された.退院後,検診では異常を認めなかった.平成12年8月21日外来受診時,超音波,MRIにて骨盤内に2つのsolidな腫瘍を認め,さらに両肺野に結節性陰影を認めた.骨盤内腫瘤の針生検を施行し,核異型度,細胞密度が高い平滑筋肉腫と診断された.全身検索を行い他の部位に異常が認められず,平滑筋肉腫の肺転移と診断した.その後CAP4コース施行,腫瘍の縮小傾向見られたため,平成13年2月22日再開腹し骨盤内腫瘍を1つ摘出した.組織学的検索では悪性と診断されなかった.3月7日肺野病変の原発を検索する目的で肺生検を施行するも骨盤内腫瘍との関連性はみられず,その後外来で経過を追った.平成15年1月CT上肺野病変の増大が示唆されたため肺生検を施行.組織学的検索では,核の多形性は少ないが,細胞密度が高く核分裂像が散見され,平滑筋肉腫の診断であった.その後再入院,IAP療法を施行中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
322-322, 2003
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