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第106回学術集会(平成15年10月5日)

【一般演題】
婦人科一般
10年前の帝切創より大量出血を来したと思われる1例


渕脇 泰介, 坂本 愛子, 高瀬 幸子
浦安市川市民病院産婦人科


 【緒言】前回帝切症例における子宮体部深部切開創の菲薄化は帝切直後,非妊娠中,次回妊娠中などの時期を問わず,しばしば認められる.今回我々は,前回帝切より10年を経て,非妊娠中に前回帝切創の菲薄部より出血を来したと思われる1例を経験したので報告する.【症例】39才主婦,既往歴:29才時,他医で帝切を施行しているが,その後の妊娠はない.当院初診2週間前に前医(帝切施行医)受診,筋腫指摘され,ている.初診時所見:前日頃よりの月経困難症および出血量の増加を訴え来院,子宮は鵞卵大,超音波検査にて子宮下部前壁に38.6×46.6mmの腫瘍像を認める.【経過】初診2日後に出血・下腹痛が増強したため再来,腹腔内出血と子宮出血があり,超音波検査にて子宮下部前壁の腫瘍像は消失していた.ソノヒステロにおいてカテーテルは前回帝切創と思われる部に進み,子宮壁の菲薄化が認められた.このため子宮破裂による腹腔内出血を疑い緊急入院し手術となった.【手術所見】開腹時,約150mlの腹腔内出血を認めた.膀胱を下方に剥離し,子宮前壁の前回帝切創を確認するが,肉眼的に破裂は確認できなかった.術中に子宮鏡検査を施行するが,子宮腔内の明らかな腫瘍像は認められず,また注入生食の子宮壁からの流出も認められなかった.子宮は全摘出術を施行.摘出子宮前回帝切創部に幅1.5cm,深さ1.0cmの陥凹部および,その下方の子宮頸部壁に出血斑をみた.【考察】本症例の詳細を報告するとともに,他症例の帝切既往子宮の創部状態についても,超音波的,病理学的に検討を加えたので合わせて報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3) 328-328, 2003


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