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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
婦人科一般 子宮動脈塞栓術が有効であった胎盤ポリープの1症例
小室 真祐子, 正田 朋子, 笠井 剛, 鈴木 孝太, 奥田 靖彦, 端 晶彦, 平田 修司, 星 和彦
山梨大学産婦人科
胎盤ポリープは子宮内操作により大量出血をきたし子宮摘出術を余儀なくされる場合があるが,近年,経頚管的子宮鏡下切除(TCR),子宮動脈塞栓術(UAE)など保存的治療が効果をあげている.今回,経腟超音波ドップラー法,MRIにて血流量が豊富であると判断した胎盤ポリープに対してUAE及びTCRを施行し,子宮を摘出せず治療しえた症例を経験したので報告する.【症例】27歳女性,1妊1産.前医にて2002年9月1日(妊娠39週1日)経腟分娩後の弛緩出血のため当院へ救急搬送され,子宮収縮剤投与により出血は減少し前医へ転院した.産褥27日目より性器出血があり,子宮腔内に直径5cmの腫瘤を認めた.出血が持続し,腫瘤も消失しないため産褥52日目に当院へ再入院となった.hCG,hPLは陰性で,ドップラー法で周囲に血流が描出される直径4.4cmの腫瘤を子宮腔内に認め,臨床経過より胎盤ポリープと診断した.MRIでは子宮前壁から胎盤ポリープへ連続する血管が描出された.その後も胎盤ポリープは増大傾向を示し,血流も徐々に増加したため,産褥58日目UAEを施行した.右子宮動脈塞栓術後の血管造影では,胎盤ポリープ内に血管が認められなくなったため,塞栓術は右側のみとした.術後,血流はほとんど消失したにもかかわらず胎盤ポリープの自然脱落が認められなかったので,産褥67日目TCRで胎盤ポリープを除去した.手術時の出血量は少量で,術後出血もほとんどなく術後7日目に退院した.病理診断では線維化や石灰化を伴う壊死した絨毛組織であった.産褥3ヶ月目より月経再開し,産褥4ヶ月目の血中ホルモン値はLH,FSHとも正常だった.産褥6ヶ月目のhysterosonographyでは子宮内腔に癒着や不整は認めなかった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
329-329, 2003
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