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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
不妊・内分泌(1) 卵巣過剰刺激症候群における濃縮腹水アルブミン回収還元療法の経験
渡辺 浩二, 佐藤 孝道, 栗下 昌弘, 板坂 俊典, 塩田 恭子, 斎藤 理恵, 酒見 智子, 真島 洋子, 藤田 聡子, 西山 幸江
聖路加国際病院産婦人科
【目的】卵巣過剰刺激症候群は不妊治療(HMG療法)において起こりうる医原性の症候群であり重症の場合,命にかかわる可能性がある.治療法としてアルブミン製剤が使われるが,今回我々は濃縮腹水アルブミン回収還元療法の1例を経験したので報告する.【症例】36歳.0G0P.他院にて,不妊症・抗精子抗体陽性・排卵障害のため,2回目のIVF-ET(IVF時14個採卵3日後ET3個),採卵26日目に卵巣過剰症候群(WHO重傷度分類ではGrade2から3)の診断で当院に紹介受診.治療法について説明したところ,濃縮腹水アルブミン回収還元療法を本人が希望.危険性も含め説明・同意をとった上で施行した.【方法】入院後2日間は,検査・輸液・利尿剤・血栓予防としてのヘパリンの使用で経過を見たが症状が軽快しない為,濃縮腹水アルブミン回収還元療法をした.腹水穿刺液を濃縮し,得られたアルブミンを経静脈的に還元した.腹水穿刺直前から抗生剤を使用し,腹水を濃縮用バッグに回収.回収中は感染徴候・循環血液の急激な変化に注意した.採集できた腹水を当院腎センターにて濃縮し,本人に戻した.腹水穿刺前後・濃縮アルブミン還元後と血液検査を繰り返し,炎症所見・DICなどの徴候に注意した.【結論】症例において,腹水は2700ml採集でき,濃縮腹水として400ml還元することができた.腹水穿刺前のAlb2.8から腹水還元3日後3.4(7日後4.1)に戻り,血液検査上は,AST・ALTの上昇を認めたものの,腎機能・凝固能に異常は認められず,腹水還元後5日目に退院した.退院後,子宮内に胎嚢を認めた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
332-332, 2003
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