|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
産科救急 分娩後に子宮静脈損傷による出血性ショックをきたした一例
小田 華子1), 国東 志郎1), 松岡 良衛1), 池谷 美樹1), 古賀 良一1), 磯西 成治1), 中林 豊1), 杉田 元1), 木村 英三1), 田中 忠夫2)
東京慈恵会医科大学第三病院産婦人科1), 東京慈恵会医科大学附属病院産婦人科2)
分娩後の子宮静脈破裂による腹腔内出血は,極めて稀である.今回我々は,正常分娩後に腹腔内出血をきたし,開腹止血を要した症例を経験した.症例は32歳0経産,22歳時,右卵巣腫瘍にて附属器摘出術を施行している.妊娠38週5日にて2680gの女児を経膣分娩.分娩時出血量は744ml.分娩約2時間後より呼吸困難,吐気出現,血圧75/60に低下したため,補液,子宮収縮剤投与にて血圧は改善するも顔面蒼白,腹部膨満認めたため,当院に救急搬送となる.来院時,血圧124/80.脈拍79/分.子宮収縮は良好で子宮口からの出血は少量だったが,Hb 6.0と著名な貧血と,CTで多量の腹腔内液性貯留を認めたため,輸血後に開腹手術を施行した.腹腔内には約2000mlの出血があり,子宮右側後側,頚管部よりやや上方の静脈が縦に断裂していたため,同部位を縫合した.既往手術(右附属器摘出術)による瘢痕部位が分娩時の頚管開大により断裂したと推察された.本症例について文献的考察を加え報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
342-342, 2003
|