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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
産科救急 妊娠中に発症したアナフィラキシーショックの2例
長井 智則1), 斉藤 正博2), 斎藤 麻紀1), 林 直樹1), 馬場 一憲2), 竹田 省1), 石川 源3), 照井 克生3)
埼玉医科大学総合医療センター産婦人科1), 埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター母体部門2), 埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター麻酔部門3)
アナフィラキシーショックは生死に関わり,その初期対応が重要である.今回,妊娠中にアナフィラキシーショックを発症した2症例を経験したので報告するとともに,その管理を考察する.【症例1】35歳,1G1P.食餌依存性運動誘発蕁麻疹(エビ,カニ,小麦)の既往あり.妊娠25週6日,パンを摂取後,蕁麻疹出現.前医にて,ステロイド投与後,当院に母体搬送となる.来院時,意識清明.全身に高度の浮腫を認めるも,Vital signsは安定.Hb:17.1g/dl,Ht:53.2%と血液濃縮を認めた.腹部超音波にて児心音確認後,NST開始.その後,頻脈,軽度の血圧の低下を認めた.1時間後,突然NST上児心音不明瞭となり,子宮内胎児死亡となった.【症例2】33歳,0G0P.看護婦.アトピー性皮膚炎,そばアレルギーの既往あり.内膜症性卵巣嚢腫,不妊症にて当院不妊治療後,妊娠成立.経過中に嚢腫の増大,内部に充実性病変出現のため,妊娠18週0日,卵巣嚢腫摘出術施行.全身麻酔下に手術開始,約20分経過した時点でショック症状,全身性の浮腫,膨疹出現.アナフィラキシーショックが疑われ,急速補液,昇圧剤,抗ヒスタミン剤の投与を行った.その後,Vital signsは安定し,右卵巣嚢腫摘出した.抗原としてラテックスなどの関与が疑われた.術後の妊娠経過は順調である.【結語】妊娠中のアナフィラキシーショックでは,急激に血管内脱水が起こり母体の循環不全とともに,胎盤循環動態にも急激な変化が起こる可能性がある.このため妊婦のアナフィラキシーショックでは,より慎重かつ迅速な対応が必要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
344-344, 2003
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