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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
子宮外妊娠 大量出血をきたした頸管妊娠に対して保存療法を施行した一例
三橋 裕一, 鈴木 真沙子, 依田 暁, 長谷川 潤一, 松岡 隆, 市原 三義, 盛本 太郎, 長塚 正晃, 岡井 崇
昭和大学産婦人科
近年頸管妊娠の治療は,超音波断層検査による早期診断が可能となり大量出血をきたす前の保存療法が主流となっている.今回,尿中hCG値が低値にもかかわらず,大量の性器出血を主訴に救急搬送され,子宮動脈塞栓術を施行後,子宮内容除去術,methotrexate(MTX)療法を行った頸管妊娠症例を経験したので報告する.症例は21歳,5回経妊0回経産.平成15年2月下旬からの無月経を主訴に4月下旬近医受診したが,子宮内にGSを認めなかった.その後受診せず,平成15年6月2日21時,大量の性器出血をきたし,救急搬送された.来院時,意識レベルJCS-1,血圧72/40,脈拍132/分,内診上子宮口から凝血を伴う持続する出血を認め,子宮頸部は鵞卵大に腫大,超音波断層検査では子宮頸部に20mmのGSと卵黄嚢を認め頸管妊娠と診断した.Hb 7.0g/dL,尿中hCG値336.8mIU/mLのため,赤血球輸血及び膣内ガーゼ充填し,子宮動脈塞栓術施行した.翌朝の尿中hCG値は375.8mIU/mLであったため経過観察としたが,6月5日再度大量の性器出血をきたしたため,子宮内容除去術を行った.術中出血量は800mlで,掻爬後も持続する出血を認めたためFoleyカテーテルにて圧迫止血した.同日よりMTX20mg筋注5日間施行後カテーテルを抜去したが性器出血は少量であった.6月13日には尿中hCG値37.7mIU/mLとなった.今回,尿中hCG値が低いにも関わらず大量の性器出血をきたした頸管妊娠を経験したので報告するとともに管理法の問題点について考察する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
345-345, 2003
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