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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
子宮外妊娠 特異な経過をたどった子宮外妊娠の一例
倉品 隆平, 武井 麟太郎, 黒瀬 圭輔, 米山 剛一, 明楽 重夫, 竹下 俊行
日本医科大学産婦人科
子宮外妊娠はその多くが卵管妊娠であり,放置すると破裂による腹腔内出血を来すため,診断後は速やかに手術療法やMTX療法が必要となることが多い.今回我々は,強い付属器炎のため,左卵管妊娠が初期に破裂に至らず血腫を形成し,腸管部分切除を余儀なくされた一例を経験したので報告する. 症例は24歳0経産.最終月経平成15年3月22日から7日間,同5月21日,過長月経を主訴に当科受診し,血中hCG 22648mIU/ml,経腟超音波にて子宮内に胎嚢を認めなかったため,不全流産もしくは子宮外妊娠の疑いにて翌日(妊娠8週5日)子宮内容除去術を施行した.以後外来にて経過観察中,同5月30日より39度の発熱および左下腹部痛を認め,6月2日当科受診.経腟超音波上にて,左付属器付近に3〜4cm大の血腫様の腫瘤を認めたため,妊娠9週6日子宮外妊娠疑いにて同日入院となった.入院時発熱および左下腹部痛みられ,CRPは19.54mg/dlと上昇していた.強い付属器炎を疑い抗生剤投与にて経過観察していたが,入院後4日目,hCG 2302mIU/ml,経腟超音波にて腫瘤が9cm大に増大したため6月9日腫瘤摘除術を行った.腫瘤は内部に多量の凝血塊を認め,S状結腸及び大網を巻き込んで周囲と強く癒着し,剥離が困難であったためS状結腸部分切除を行い,左卵管と共に摘出した.術後血中hCGおよびCRP値は順調に正常値まで下降した.病理検査にて子宮内に絨毛成分はなく,摘出した凝血塊中に絨毛成分を認めたため,左卵管妊娠と診断した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
346-346, 2003
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