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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
子宮外妊娠 当科における子宮外妊娠管理指針の有用性
塩沢 葉子1), 佐野 麻利子1), 櫻井 明弘1), 湯原 千治1), 輿石 太郎1), 落合 圭子1), 鈴木 正明1), 武内 裕之2), 木下 勝之2)
賛育会病院産婦人科1), 順天堂大学産婦人科2)
【緒言】子宮外妊娠(以下,EP)は,術前診断が困難な症例もあり,診断的に腹腔鏡を行うこともある.慎重な術前診断により低侵襲の腹腔鏡も含めて,不要な手術を回避する目的で,当科のEPの管理指針の有用性を検討した.【対象】対象は当院で2001年10月~2003年5月に管理指針によりEPと診断し,手術を行った40例である.【方法】当科のEPの管理指針を示す.EPが疑われる症例を臨床症状,超音波所見,血中hCG値により分類した.ショック症状,腹腔内大量出血,子宮外に胎児所見のいずれかを認める明らかなEPを1群,初診時hCGが2000mIU/ml以上のものを2群,以下のものを3群とし,超音波所見(子宮外のecho free spaceや血腫・胎嚢の腫瘤像)を認めたものをA,認めなかったものをB群と亜分類した.分類後の診断・治療指針は,1,2A群は速やかに手術し,2B,3A群はEPと不全流産の鑑別診断の目的にD&Cを行った.3B群は,正常妊娠の可能性も高いため,妊娠週数が明らかに6週に至るまで待機し,正常妊娠を否定した上で,D&Cを行った.D&Cを行った2B,3A・B群は,子宮内容の病理組織学所見で絨毛が無く,D&C後のhCG値の低下が緩慢であった症例をEPとして手術した.【結果】1,2A,2B,3A,3B群はそれぞれ,12(30%),13(32%),0(0%),11(28%),4(10%)であった.対象症例のうちEPでなかった症例は1例もなかった.一方で3Bの2例が経過中に腹腔内出血をきたし,緊急手術となった.【結語】本指針により,術前診断の疑陽性をなくすことができ,患者への手術侵襲の軽減に寄与すると考えられた.しかし初診時にhCG値が低い症例でも急変する可能性があり,より慎重な管理が求められると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
348-348, 2003
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