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第106回学術集会(平成15年10月5日)

【一般演題】
妊娠・分娩(1)
妊娠19週で破水の後,妊娠36週まで妊娠継続管理し健児を得た一例


司馬 正浩, 篠塚 憲男, 山田 綾乃, 林 崇, 佐藤 智之, 小泉 仁嗣, 藤野 剛, 高橋 祐子, 木戸 浩一郎, 笹森 幸文, 綾部 琢哉, 冲永 荘一
帝京大学総合周産期母子医療センター産科


 [症例]34歳1回経妊1回経産婦,既往歴・家族歴に特記すべきことなし.他院で妊婦健診中,妊娠19週時に夜間破水感を自覚,診察では破水を証明されなかったが,羊水量減少傾向認められたため,妊娠20週5日当科に紹介された.頚管腟分泌液の癌胎児性フィブロネクチンは(+)であったが,羊水流出は明らかではなく,BTB(-),炎症徴候もなく,児の発育は正常で,羊水過少を来す胎児異常は認められなかった.高位破水と考えられたが,妊娠週数を考慮し,インフォームドコンセントのうえ,外来で管理した.妊娠24週5日より入院管理としたところ,夜間に明らかな羊水流出を認め,pPROMと確定診断した.子宮口は閉鎖,子宮頸管長も十分に保たれており,炎症徴候は認めなかった.局所洗浄のみで経過観察の方針とした.不規則な子宮収縮の後に羊水流出が増加するため,羊水量を保つ目的で,tocolysisを最小限行った.羊水流出はその後も100g/日程度認めたが,羊水量も漸増し,reassuring fetal statusであった.妊娠34週頃よりIUGRの傾向が出現したため,妊娠35週3日tocolysis中止,terminationを計画した.妊娠36週0日陣痛開始,本人の希望で帝王切開により男児分娩となった.児は2262g,Apgar score 9(5分),respiratorによる呼吸管理は要さず,dry lung syndromeには陥らなかった.胎盤に絨毛羊膜炎の所見は認められなかった.炎症徴候が認められないまま経過した要因として,炎症の先行なしに破水し,適当量の流出が続いたため,羊水中のtrypsin inhibitorの効果,羊水による洗浄効果,母体の局所免疫能などが有効に作用したものと考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3) 348-348, 2003


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