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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
妊娠・分娩(1) 早産を繰り返すBulimia Nervosaの1例
錢 鴻武, 佐藤 孝道, 栗下 昌弘, 板坂 俊典, 斎藤 理恵, 塩田 恭子, 酒見 智子, 渡辺 浩二, 真島 洋子, 藤田 聡子, 西山 幸江, 秋谷 文
聖路加国際病院産婦人科
摂食障害は思春期からの青年期の女性に好発する.近年患者数の増加が見られるが結婚して妊娠・出産した症例の報告は少ない.今回我々は過食・嘔吐を繰り返し低体重で3回の妊娠・早産に至ったBulimia Nervosaの1例を報告する.症例は30歳女性.19歳時のダイエットをきっかけに発症したBulimia Nervosaであり,以降過食・嘔吐を繰り返し,偽性Batter症候群にて心療内科にてカリウムの補正とカウンセリングを受けていた.22歳時恋愛結婚.同年34週3日で,2204g,Apg 9の女児を経膣分娩.23歳時,32週2日で,2106g,Apg 9の男児を経膣分娩.26歳時離婚.その後,現在のパートナーと生活を始め,30歳時自然妊娠.妊娠20週頃よりIUGR傾向(-1SD)あり.妊娠29週6日に子宮収縮を自覚し来院.切迫早産の診断にて入院.来院時体重35.8kg(非妊時35kg,BMI15.0).入院後,子宮収縮抑制剤投与.血清K2.0mEq/dlと低値のため,経口に加え点滴にて補正.入院後切迫早産症状は落ち着いたが,嘔吐を繰り返し,Kは2.0〜3.7mEq/dlを推移.入院のストレスから体重は31.5kgに減少.妊娠32週0日,長期入院と,周囲から望まれていない妊娠に対する精神的ストレスのため,これ以上の妊娠継続は困難と判断し,子宮収縮抑制剤を中止.その後陣痛発来し,妊娠32週4日に経膣分娩(1538g,男児,Apg 9).産褥経過は良好であったが,低K血症持続し,点滴にて加療.産褥5日目に退院した.退院時体重32.5kg.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
349-349, 2003
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