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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
妊娠・分娩(1) 急性膵炎合併妊娠の一例
牧野 真太郎1), 斎藤 麻紀2), 木下 二宣1), 村山 敬彦1), 斉藤 正博1), 馬場 一憲1), 竹田 省2)
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター母体胎児部門1), 埼玉医科大学総合医療センター産婦人科2)
妊娠中の急性膵炎は稀であるが,母児共に極めて重篤な経過をたどることがあり,妊娠中の急性腹症の中でも特に注意すべき疾患のひとつである.今回我々は,妊娠後期に急性膵炎を発症し,代謝性アシドーシスを併発したため帝王切開術を行い,術後ICUにて管理を必要とした症例を経験したので報告する.<症例>28歳,1G1P平成14年9月8日を最終月経として妊娠成立.妊娠38週0日,心窩部痛,嘔気,嘔吐を主訴として当科母体搬送となった.血中アミラーゼ1486IU/lと高値を示し,経腹超音波,MRI検査にて膵腫大を認めたため,急性膵炎と診断.メシル酸ナファモスタット,ウリナスタチン,セフェム系抗生剤投与を行い,絶飲食,IVH管理とした.その後症状は軽快し,血中アミラーゼも低下傾向を示したが,妊娠38週5日,心窩部痛の増悪と,血中アミラーゼの再上昇,代謝性アシドーシス(pH7.353)を認めたため,急性膵炎の再燃と診断し,同日全身麻酔下に緊急帝王切開術を行った.児は3416g,APS 2/6点,UapH 7.046.術中より,母体の代謝性アシドーシスの増悪を認め術後ICUにて管理した.術後1日目に全身状態が改善したため抜管.その後は母児共に経過良好にて術後15日目に退院となった.<結語>急性膵炎合併妊娠は極めて稀であるが,母体,胎児死亡の報告も散見され,妊娠中の急性腹症の鑑別疾患として重要である.今回の症例でも,母体に比し胎児の代謝性アシドーシスが強かったが,その予測は困難であった.その病態,母児管理につき考察する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
349-349, 2003
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