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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
妊娠・分娩(2) 診断に苦慮した子宮内膜症性卵巣嚢腫合併妊娠の3例
上山 明美1), 村山 敬彦2), 斎藤 正博2), 林 直樹1), 馬場 一憲2), 竹田 省1)
埼玉医科大学総合医療センター産婦人科1), 埼玉医科大学総合周産期母子医療センター母体胎児部門2)
【緒言】今回我々は,妊娠を契機に発見され,悪性腫瘍との鑑別に苦慮した子宮内膜症性卵巣嚢腫合併妊娠の3例を経験したので,その症例を提示し報告する.【症例1】39歳.1経妊1経産.前医にて妊娠前より径40mmの卵巣嚢腫を指摘されていた.妊娠に伴い腫瘍径が増大し,妊娠29週2日に当科初診.超音波検査で,76×51×32mmの多房性で血流を伴う充実部分と壁の肥厚を認めた.妊娠34週4日,悪性腫瘍が否定できないこととダグラス窩に腫瘍が嵌頓しているため,選択的帝王切開術を施行し,同時に左腫瘍摘出術を施行した.病理診断は,脱落膜様変化を伴う子宮内膜症性卵巣嚢腫であった.【症例2】23歳.0経妊0経産.妊娠初期の超音波検査で,48×33×21mmの充実性部分と壁の肥厚,腫瘍への血流を伴う右卵巣腫瘍を認めた.妊娠16週2日,開腹による右卵巣嚢腫核出術施行し,病理診断は,脱落膜様変化を伴う子宮内膜症性卵巣嚢腫であった.【症例3】33歳.0経妊0経産.子宮内膜症性卵巣嚢腫にて腹腔鏡下嚢腫核出術の既往があり,hMG-hCG-AIHにて妊娠.妊娠17週0日,右卵巣嚢腫の増大を認め紹介初診となった.超音波検査で,71×38×35mmの多房性で血流を伴う充実部分と壁の肥厚を認めた.妊娠18週0日,開腹による右卵巣嚢腫核出術施行し,病理診断は,脱落膜様変化を伴う子宮内膜症性卵巣嚢腫であった.【結語】子宮内膜症性卵巣嚢腫が妊娠に伴い脱落膜変化をきたすと,悪性腫瘍に酷似する画像所見を呈することがある.妊娠初期により厳重に管理し,手術療法の適否,手術時期について慎重に検討する必要がある.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
352-352, 2003
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