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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
妊娠・分娩(3) 解離性大動脈瘤破裂を来したMarfan症候群合併妊娠の一例
山口 俊一, 森 繭代, 町田 亮太, 根井 朝美, 岡村 麻子, 岡田 智志, 横田 治重
日立製作所日立総合病院産婦人科
Marfan症候群は,クモ指症,水晶体脱臼,解離性大動脈瘤が特徴的であり,約10万人に1.5〜6.0人の頻度で起こる比較的稀な結合組織疾患である.Marfan症候群合併妊娠は循環器系への負担を増し,解離性大動脈瘤破裂の危険性をさらに増大させる.今回我々は,妊娠36週妊婦が解離性大動脈瘤破裂を来し母体死亡に至った症例を経験したので報告する.症例は,30歳5経妊1経産.家族歴:母が28歳時心臓弁膜症手術中死亡.既往歴:パニック症候群.入院時現症:身長167cm,体重67kg,血圧126/70mmHg脈拍84回/分,WBC:11100/μl,Hb:11.9g/dl,Plt 15.8万/μl,LDH:207U/l,CK:34U/l,Fib:368mg/dl,FDP 5.3μg/ml.現病歴:妊娠36週2日,左背部痛,嘔気にて前医受診.鎮痛剤投与するも症状軽快せず,同日,当院母体搬送となる.来院時,背部痛軽快傾向にあった.循環器疾患鑑別のためMRI施行.Stanford分類B型の解離性大動脈瘤と診断され妊娠36週6日,予定帝王切開とした.手術室入室後,ストレッチャーより手術台への移動時に背部痛を訴え意識消失.挿管後,母体救命処置施行.開胸,帝王切開術同時施行.児娩出,2620g男児.Apgar Score 2点(1分),9点(5分).その後DC 20Jチャージ,開胸心臓マッサージ施行するも母体死亡に至った.右胸腔内出血あり,解離性大動脈瘤破裂と診断した.Marfan症候群合併妊娠について若干の文献的考察を加えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
356-356, 2003
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