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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
妊娠・分娩(3) Klippel Trenaunay Weber syndrome合併妊娠の1症例
鈴木 真梨子, 奥田 靖彦, 深澤 宏子, 滝澤 基, 平田 修司, 星 和彦
山梨大学産婦人科
Klippel Trenaunay Weber syndromeは皮膚の血管腫,静脈瘤,骨の肥大延長を伴う罹患部の肥大をtriasとする先天性の疾患で,合併妊娠した症例の報告は少ない.今回当科で外陰部血管腫を認める症例の妊娠・分娩を管理したので報告する.症例は39歳初産婦で,学童期に左外陰部腫瘤,左下肢腫脹にて発症した.今回,妊娠15週頃より血管腫の増大を認めていた.その後切迫早産にて入院となり,血管腫について精査を行ったところKlippel Trenaunay Weber syndromeの診断をうけた.膣壁に血管腫を認めないこと,外陰部も全体ではないことから経膣分娩可能と判断し,妊娠38週4日に出産した.分娩時の出血は440g(羊水含)であった.Klippel Trenaunay Weber syndrome合併妊娠は分娩に伴う大量出血の危険が大きい.また多量の出血の危険性に加え疼痛の管理も必要である.帝王切開を選択した場合でも切開部位と血管腫の位置が問題となる.また,血管腫が巨大な場合は血管内皮の異常により血小板が活性化されることや凝固因子の低下から出血傾向を示し,重症化するとDICを引き起こすことがある.Klippel Trenaunay Weber syndrome合併妊娠の分娩において血管腫,静脈瘤の位置を確認するためにMRIによる検索が必要であり重症化を防ぐためにも凝固系の検査の必要性を認識した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
357-357, 2003
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