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第106回学術集会(平成15年10月5日)

【一般演題】
妊娠・分娩(4)
抗リン脂質抗体症候群にHELLP症候群を合併した2症例


塚田 ひとみ, 渡辺 未央, 飯田 哲士, 石黒 葉子, 佐分 義之, 内田 能安, 杉 俊隆, 牧野 恒久
東海大学専門診療学系産婦人科


 今回,抗リン脂質抗体症候群に合併したHELLP症候群を経験したので報告する.症例1;30歳,3経妊0経産.平成11年10月,不育症精査初診にて抗核抗体陽性,抗カルジオリピン抗体陽性であり抗リン脂質抗体症候群の診断で,低用量アスピリンの服用及び妊娠判明後ヘパリン5000IU/day皮下注射を併用した.経過中異常を認めず,妊娠35週で抗凝固療法を終了した.平成14年2月17日(妊娠40週3日),背部痛,嘔気・嘔吐を主訴に入院となった.pltの低下(10万/μl),GOT,GPT,LDHの上昇を認め,HELLP症候群の診断にて,帝王切開術施行した.児は3444g,Aps8/9であった.術後はDICに準じた治療を施行し,経過良好にて退院となった.症例2;37歳,4経妊0経産.平成13年10月当院初診時,抗カルジオリピン抗体陽性であったため低用量アスピリンの内服を開始し,妊娠成立後,ヘパリン5000IU/dayの皮下注射を併用した.妊娠35週時に-1.75SDのIUGRを認め,平成14年7月17日(妊娠36週4日),午前8時に陣痛発来し,同日午前10時50分に児娩出(2125g,Aps9/9).出産約4時間後,胸部不快感及び胃痛が出現し,採血上,plt低下(5万/μl),GOT,GPT,LDHの上昇を認めた.HELLP症候群の診断にてDICに準じた治療を行い,出産後16日目に退院となった.HELLP症候群は妊娠中毒症の病態に合併しやすいとされるが,抗リン脂質抗体症候群症例に関しては妊娠中毒症兆候が認められなくても,出産後も含めて厳重な管理を要すると思われた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3) 358-358, 2003


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