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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
妊娠・分娩(4) 分娩後,急性腎不全を発症し透析を必要とした重症妊娠中毒症の一例
西 健1), 稲垣 智昭1), 中山 健1), 八鍬 恭子1), 藤原 礼1), 栗原 広行1), 満川 元一1), 小林 和裕2)
水戸赤十字病院産婦人科1), 水戸赤十字病院内科2)
妊娠中毒症は分娩後,症状改善する症例が多い.今回我々は分娩後も症状が改善せず急性腎不全を発症,乏尿となり肺水腫により挿管を必要とし透析治療を要した重症妊娠中毒症の症例を経験したので報告する.【症例】34歳,0経妊0経産.2002年10月妊娠初診,妊娠経過中切迫流産にて一時入院管理も症状改善し外来管理となっていた.妊娠33週尿蛋白(+),浮腫(+).35週尿蛋白(++),浮腫(+),血圧149/98,子宮口開大傾向認めたため妊娠中毒症(E,P,h),切迫早産にて入院管理となる.入院後,安静・食事療法・塩酸リトドリンにて管理.37週塩酸リトドリン中止となるが尿蛋白増加,血圧上昇を認めヒドララジン80mg/日内服開始.37週4日血圧上昇認め,ヒドララジン点滴に変更120mg/日まで増量するも血圧150/100と改善認めず緊急帝王切開分娩となる.術後より乏尿認めドパミン使用し補液負荷,利尿剤使用するも尿量維持できず.術後三日,肺水腫出現しSpO 280台まで低下挿管呼吸器管理が必要となった.BUN 29.0,Cre 2.36,Na 121,K 5.6,Cl 88と腎不全を示す所見認め挿管後も乏尿続きBUN 33.4,Cre 3.26,Na 118,K 6.4,Cl 88と増悪し内科依頼,透析治療が必要となった.透析後腎不全軽快,尿量安定した為術後27日退院外来管理可能となった.【考察】妊娠中毒症により分娩後も腎機能障害が遷延する症例があるが,我々は急性腎不全により挿管,透析まで必要となった症例を経験した.この症例をふまえ文献的考察を加え報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
361-361, 2003
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