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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
妊娠・分娩(4) 帝王切開後,脳梗塞を発症した双胎妊娠・妊娠中毒症の一例
藤江 裕美, 渋井 庸子, 三並 伸二, 斉藤 恵, 松島 隆, 小西 英喜, 可世木 久幸, 朝倉 啓文, 竹下 俊行
日本医科大学産婦人科
ARTによる双胎妊娠が増加している.我々はIVF-ETによる双胎妊娠に妊娠中毒症を発生し,帝王切開後に弛緩出血によるDICを起こし,治療中に脳梗塞を発症した一例を経験したので報告する.(症例)32歳,0経妊0経産.(既往歴)19歳時RSO.(今回妊娠歴)他院でIVF-ETにて妊娠成立.D-D twinであり,20週より下肢浮腫あり.33週0日,浮腫の増悪と尿蛋白陽性を認め妊娠中毒症にて管理入院となる.入院後,全身性の浮腫となり,入院時1.1g/日であった尿蛋白も4.7g/日と増悪を認め,血圧も35週には150/90mmHgと上昇した.胎児の発育には問題はなかったが,35週3日,陣痛発来し緊急帝王切開となった.術中出血量1900ml(羊水込)であり,術後には弛緩出血によるDICとなった(術後出血量;3400ml).抗DIC療法を開始し改善を認めていたが,術後約24時間後,頭痛を訴えた後に強直性痙攣を生じた.1時間後に施行したCT・MRIにて後頭葉の梗塞が診断され,一時,視野障害を認めた.内科的治療に反応し,術後12日目のCTにて梗塞層はほぼ消失し術後27日目に退院となった.(考察)本症例のような双胎における重症妊娠中毒症の帝王切開例では,中毒症による病態に,麻酔による循環動態の変化,出血,輸血,輸液量などの種々の影響のため,病態は複雑となり,重篤な合併症を引き起こす可能性があり,適切な病態の把握が必要となり,脳梗塞に対しては早期の診断,内科的治療が必須である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
361-361, 2003
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