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第106回学術集会(平成15年10月5日)

【一般演題】
妊娠・分娩(4)
妊娠中毒症患者での持続硬膜外神経ブロック併用による妊娠・分娩管理の検討


沼野 由記1), 河村 隆一2), 水主川 純2), 大橋 涼太2), 小澤 英親2), 西口 富三2), 杉村 基2), 金山 尚裕1)
浜松医科大学産婦人科1), 浜松医科大学周産母子センター2)


 目的:当センターでは妊娠中毒症の病態として交感神経の活性化を報告してきた.我々はこうした交感神経活性化に注目し,高血圧優位型妊娠中毒症に持続硬膜外神経ブロックを施行している.妊娠中毒症での持続硬膜外神経ブロックよる分娩経過,治療効果について検討したので報告する.対象と方法:対象は1997年から2003年の6年間の当センターでの妊娠中毒症患者とした.硬膜外神経ブロックを行わなかったコントロール症例は7例.硬膜外神経ブロック療法を行った症例は13例であった.硬膜外神経ブロックを行う適応は1)高血圧優位型の妊娠中毒症2)胎児仮死徴候を認めない3)妊娠36週以降とした.硬膜外神経ブロックを併用して分娩に至った症例について分娩前の経過,分娩時の血圧の変動,分娩様式,新生児の評価等を検討した.結果:妊娠中毒症に対し硬膜外神経ブロックを行った症例の導入前の平均血圧は173±16/103±15mmHg,導入後は148±17/92±12mmHg. 13例中7例は中毒症の症状が軽快し経膣分娩可能であった.分娩開始前の平均血圧は150±12/82±18mmHg,分娩経過中の血圧の変動は収縮期±26mmHg,拡張期±18mmHgであった.在胎週数は平均37.9週で分娩所要時間は平均9.7時間.分娩様式は正常分娩6例,鉗子分娩1例,帝王切開6例であった.考察:硬膜外神経ブロックにより交感神経の活性化を抑制し,胎盤機能ならびに妊娠中毒症症状を改善することができた.また,緊急時には帝王切開分娩へのすみやかな可変が可能であり妊娠中毒症患者への硬膜外神経ブロック療法は有用であった.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3) 362-362, 2003


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